国宝!「大雄宝殿」 |
さらに国宝!「第一峰門」 |
重要文化財「三門」 | 〃 「媽祖門」 | 〃 「護法堂」 |
重要文化財「鐘鼓楼」 | 県指定史跡「媽祖堂」 | 県指定文化財「梵鐘」 |
それが「長崎の崇福寺」です!
なにしろ、九州5件の国宝建築物のうち、【2件が同寺にあります】。その他にも、
• 国指定重要文化財 ×5 • 県指定有形文化財 ×4 • 市指定有形文化財 ×10 と、まさに文化財の宝庫。 寛永6年(1629年)に渡来した明僧・超然(ちょうねん)により開山された「聖寿山 崇福寺」。隠元禅師由来の唐寺として、在留華僑が私財を惜しみなく寄進した長崎四福寺の筆頭です。以下、黄檗宗建築の粋を尽くした【世界遺産級の仏閣】をご案内します。
目次
基本情報
所在地 | 長崎県長崎市鍛冶屋町7-5 |
拝観料 |
|
営業時間 | 8:00~17:00 |
電話番号 | 095-823-2645 |
山号 | 聖寿山(しょうじゅさん) |
宗旨 | 黄檗宗 |
開基 | 超然(ちょうねん) |
創建 | 寛永6年(1629年) |
【駐車場について】
三門前から右折すれば、参拝者用の駐車場です。 | 10台以上停められます(無料)。 |
路面電車のアクセス
(※距離270m、徒歩3分)
「御朱印」【三国志ファン垂涎】
「御朱印」は、境内の売店で書置きのものがお願いできます(納経料は500円。※日付は売店の方が入れてくれます)。✔2021年1月現在、売店の方が入院中で閉鎖されています。
それでは、境内を巡りましょう。
崇福寺 【境内巡りマップ】~写真付き
現地到着後に活用ください。
【1】「三門」(重要文化財)
おとぎ話に登場するかのようなファンシーな意匠が人目を引く三門は、「龍宮門」の別称で呼ばれる、崇福寺のランドマークです。「三門」の名の由来は、中央と左右に門戸が設けているため。
当初の山門が倒壊したあと、嘉永2年(1849)4月に、棟梁 大串五郎平以下、日本人工匠によって再建されました。
2階に掲げられた『聖寿山』の扁額は、隠元禅師の筆によるもの。
三門の前に立つ中国風狛犬は、デフォルメされた造形がどこかユーモラスです。
獣環 | 魔伽羅 |
【2】「袖石の装飾」
【3】「第一峰門」(国宝)
石段を踏破すれば、最初の国宝「第一峰門」が視界に入ります。
門の中央に掲げられた、隠元禅師の門生「非禅師禅師」筆による『第一峰』の扁額がその名の由来です。創建は正保元年(1644)で、元禄8年(1695)に中国寧波から運ばれた資材で再建され現在の姿となりました。もともとはここが山門で、明暦元年(1655年)、この門より隠元禅師を迎えています。
【4】「護法堂」
足元に目を向けると、礎盤に獅子・鹿・麒麟・梅の彫刻が刻まれているのが見てとれます。
周倉と関平を両脇に従える「関帝」(関羽) |
関帝(関羽) | 韋駄天 | 観音菩薩 |
関帝像前に菓子や食べ物を供えると、よくねずみに食べられるので、寺僧は供物を食べられるようでは霊験(神仏が示す不思議な利益)があるものかと笑っていたそうです。 ある日、即非和尚が関聖像に向かい、ねずみに食べられる罪を責めて右の頬を打つと頬の部分が剥げてしまいました。 で、翌朝見ると、韋駄天の剣にねずみが刺し抜かれており、まるで関聖の命令で韋駄天がねずみを退治したようだったそうです。 寺僧もこれには驚き、早速関聖帝像の右頬の修理をさせましたが、剥げた部分にいくら漆を塗ってもどうしてもうまく付かず、今もその跡が残っているというんです。 引用 :「ナガジン」発見!長崎の歩き方
武の象徴関帝らしからぬ、微笑ましいエピソードです。
【5】「大雄宝殿」(いわゆる本殿。国宝)
千獃筆の『海西法窟』の扁額 | 1階屋根軒丸瓦の瓦頭には「崇」、2階屋根瓦頭には「福」の文字。両方合わせて「崇福寺」を意味します。 |
「擬宝珠付き垂花柱」 | 「黄檗天井」 |
「十八羅漢像」 |
【6】「鐘鼓楼」(重要文化財)
【7】「大釜」(市指定有形文化財)
延宝年間末(1681年頃)、飢餓で苦しむ長崎市民3000人に施粥するという、大殊勲をあげた大釜です。
【8】「媽祖門」(重要文化財)
時を告げる「飯梆」(はんぼう) | 「瑠璃燈」 |
黄檗宗寺院独特の「飯梆」(魚板・鱖魚)と「瑠璃燈」もつぶさに観察したい逸品です。
和式の舟底天井(写真左手)と中国式の黄檗天井(〃右手)と、2層に分かれた天井が注目ポイントです。
【9】「媽祖堂」(県指定史跡)
【10】「開山堂」
【11】「墓地からの眺望」
媽祖堂の脇から石段をあがれば、境内と長崎市街との眺望が眼下に開けます。
墓地内にある「崇福寺三塔」。中央が、隠元禅師の髪を埋葬した寿塔(生前に建てておく墓)で、寛文9年(1669)3月に建立されました。
【12】「売店」
「中国盆会」(普度盂蘭盆勝絵)
旧暦7月26日からの3日間催される、その年に他界したこの世の生き物すべての霊を供養する中国色豊かな神事。
高さ1mにまで積み上げた金山・銀山を高らかに燃やし、霊を天へ送ります。
「聖寿山崇福寺 まとめ」
(観光地としては)立地的に孤立しているためか、観光コースから除外されがちな崇福寺。ただ、その現状はあまりに惜しいです。
長崎特有となる異文化のるつぼを表現した「和華蘭文化」。その中華の要を「長崎四福寺」、なかんずく崇福寺が担っています。所要時間30分とタイトルに付けましたが、時間が許せば、1時間以上かけて細部まで観覧して欲しい「世界遺産級の名刹」です。
参考文献・サイト:
• 長崎市役所編、『長崎市史 地誌編 地誌編仏寺部 下』、長崎市、1938年
• 長崎県教育委員会、『中国文化と長崎県』、長崎県文化団体協議会、1989年
• 長崎文献社、『旅する長崎学16 中国交流編Ⅵ唐船来航の道』、長崎文献社、2012年
• 長崎県の文化財
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