龍馬率いる海援隊と紀州藩との船が衝突した「いろは丸事件」。その談判の舞台となったのが、本稿のテーマ「長崎の聖福寺」です。
2020年11月、そのゆかりの地に、故山﨑和國氏制作の坂本龍馬像を建立。除幕式には、田上富久長崎市長他70名が出席し、新たな龍馬の聖地誕生を盛大に祝いました。
在崎華僑がキリスト教徒でない証しとして建立された「唐寺」(とうでら)の一山「聖福寺」は、崇福寺・興福寺・崇福寺と並ぶ「長崎四福寺」に数えられます。
大雄宝殿(本殿)・天王殿・鐘楼・山門が(国宝に次ぐ)国指定重要文化財、その他、梵鐘・惜字亭・石門が長崎市指定有形文化財と、境内中が文化財の宝庫。
さらに、風情に富んだ情景が文人墨客に好まれ、さだまさし原作の映画『解夏』にも登場しました。
歴史と異国情緒に彩られた万寿山 聖福寺。さっそく境内を巡ってみましょう。
公式Facebook
目次
基本情報
所在地 | 長崎市玉園町3-77 |
拝観料 | 無料 |
問合せ | ℡:095-823-0282 |
山号 | 万寿山(まんじゅさん) |
宗旨 | 黄檗宗 |
開基 | 鉄心道胖 |
【駐車場について】
山門前に2台分が確保されています(無料)。
• 「(拝観者用)駐車場の位置」
• 「一方通行道路の進入路」
ルートマップです。車でお越しの際にご活用ください。路面電車のアクセス (※距離450m、徒歩10分)
「御朱印」
✔「御朱印」は、「大雄宝殿」(本堂)横の納経所でお願いできます。
それでは、境内を巡りましょう。
聖福寺 【境内巡りマップ】~写真付き
現地到着後にご活用ください。
【1】「山門」(重要文化財)
「惜字亭」・「三界萬霊塔」・「市川団十郎の供養塔」
【2】「天王殿」(重要文化財)
【3】「石門」(長崎市指定有形文化財)
木庵筆の「華蔵界」の文字が刻まれた石門は、明治19年(1886)に崇岳神宮寺から移築されたもの。
「蝙蝠をあしらった装飾」にも注目です。
【4】「坂本龍馬の像」
本人に最も酷似していると評価の高い「風頭公園の坂本龍馬之像」と同じ故山﨑和國氏作。
台座の資金をクラウドファンディングから募るなど、有志の尽力の末に、「龍馬ゆかりの地 聖福寺」への設置が実現しました。
【5】「鐘楼」(重要文化財)
「梵鐘」:開祖の名をとって「鉄心の大鐘」と呼ばれた享保3年(1718)改鋳の大鐘は、長崎一の鐘の音を奏でていました。
江戸時代後期には異船襲来の際の早鐘にも使われた鉄心の大鐘。残念ながら現在は、除夜以外で轟音を轟かせることはありません。✔「梵鐘」は長崎市指定有形文化財。
【6】「じゃがたらお春の石碑」
昭和27年(1952)、上野初太郎が建立した歌碑。その裏には、「長崎の鶯は鳴く今もなおじゃがたら文のお春あわれと」と吉井勇作の短歌が刻まれています。
【7】「大雄宝殿」(重要文化財)
のちに聖福寺の開祖となる鉄心は、大雄宝殿(いわゆる本殿)に従来の黄檗宗様式ではなく、本山である萬福寺様式を取り入れ、白木を基調とした造りとしています。
ただし、黄檗様式が皆無ではなく、黄檗天井・半扉・屋根の寳瓶にその名残を残します。
現在の建物は、長崎の楠原与右衛門の工匠による正徳5年(1715)の改築です。黄檗宗寺院ではお馴染みの「飯梆(はんぼう)」。時を告げるために叩く精巧な魚の形をした鳴物です。長崎では「崇福寺」、「興福寺」にも吊るされています。
大雄宝殿内に祀られる本尊の釈迦。驚くことに、2011年のレントゲン調査で、金属製の五臓六腑が胎内にあることが分かっています。
【8】「茶筌塚」
大雄宝殿そばに建てられた「茶筌塚」。お茶をたてる茶筅の供養塚で、昭和40年(1965)の作品です。
【9】「瓦塀」(かわらべい)
【10】「 ビュースポット」
瓦塀から石段を踏破したら、伽藍と長崎の街並みが一望できる景勝地です。多少の労苦に倍する感動を得られるので、足を伸ばすことをお勧めします。
「万寿山聖福寺 まとめ」
(原爆で伽藍が焼失した福済寺を除き)ワインレッドに染まった黄檗宗寺院様式が色濃い崇福寺・興福寺に対し、本山である宇治の萬福寺様式を取り入れた聖福寺は和風建築を基調した佇まいを奏でます。
静寂と木漏れ日との完璧な調和がとれた伽藍は、あたかも和室に描かれた襖絵のごときです。
観光客の参拝数はさほど多くはありませんが、駐車場も用意されているので、他では見られないOnly oneな名刹に是非ご参拝ください。
参考文献・サイト:
• 長崎市役所編、『長崎市史 地誌編 地誌編仏寺部 下』、長崎市、1938年
• 長崎県教育委員会、『中国文化と長崎県』、長崎県文化団体協議会、1989年
• 長崎文献社、『旅する長崎学16 中国交流編Ⅵ唐船来航の道』、長崎文献社、2012年
• 現地の案内板
• 長崎県の文化財
【長崎トレンド情報、速報中!】( ゚∀゚)o彡フォローォ!Follow @RnIl0GmXaS4l1dP
本稿の執筆、すべての写真撮影:当管理人 画像・文章の無断転載を固くお断りします。 (観賞価値・作品性を有する写真の引用は、著作権法によりできません。行えば損害賠償の対象となります)。 特にまとめ・キュレーションサイト、アフィリエイトブログによる画像の盗用については、断固とした対応をとります。 詳しくは「転載、引用について」をお読みください。