長崎市寺町にある「東明山 興福寺」。江戸時代初頭の寛永元年(1624年)に、中国僧の真円により創建された「唐寺」(とうでら)で、長崎四福寺の一山に数えられます。
在留華僑が私財を惜しみなく寄進した「興福寺の伽藍」は、国指定重要文化財「大雄宝殿」(本堂)を始めとして、「山門」、「媽姐堂」、「鐘鼓楼」とすべてが黄檗美術・和風建築の粋を尽くした絢爛豪華な造り。「長崎四福寺」のなかで最古の歴史をほこる「東明山 興福寺」。その見どころを余すところなく紹介します。
目次
基本情報
所在地 | 長崎市寺町4-32 |
拝観料 |
|
拝観時間 | 9:00~17:00(年中無休) |
問合せ | ℡:095-822-1076 |
【駐車場について】
山門前に3台分が確保されています(無料)。駐車した際には、受付の方に申告してください。 ✔山門前の道路は一方通行です。 |
• 「(拝観者用)駐車場の位置」
• 「有料駐車場の位置」
• 「一方通行道路の進入路」
ルートマップです。車でお越しの際にご活用ください。路面電車のアクセス (※距離400m、徒歩8分)
「御朱印」
当日はご住職が不在で、ランタンフェスティバル仕様の御朱印をいただきました。中国では招福を意味する「逆さ福(倒福)」が唐寺ならではです。
✔「御朱印」は、「大雄宝殿」(本堂)横の納経所でお願いできます(納経料は500円)。
それでは、境内を巡りましょう。
興福寺 【境内巡りマップ】~写真付き
現地到着後にご活用ください。
【1】「山門」(通称 あか門/県指定有形文化財)
【2】「中島聖堂遺構」(県指定有形文化財)
【3】「三江会所門」(県指定有形文化財)
唐人さんの寝棺:三江会所門内に安置されている唐装飾が施された木棺。生前に自らの棺桶を自室に建て掛けるのが漢民族の習わし。 豚返しの敷居:三江会所門入口に設けられた高い敷居は「豚返し」と呼びます。放し飼いにされていた豚が門内に侵入できないための仕組みで、人が出入りできるよう、二段式で上部が取り外せます。
古来より、豚を主な動物性たんぱく源としてきた漢民族ならではの知恵です。
【4】「東明燕」(庭園)
「東明燕」(とうめいえん)と命名されたこの小庭園は、三江会所跡に造成されたもの。江戸時代に造られた黄檗池、竹林、ツツジが織りなす庭園は、ため息が漏れる異空間です。
【5】「大雄宝殿」(本堂/重要文化財)
組子の裏側全体は元々は色ガラス張りで、日が差し込むとステンドグラスのような美しさでした。
しかし原爆によってガラスはすべて吹き飛ばされてしまいます。戦後の修復工事の際にも、ガラスで再生することは叶わず、板張りで修繕を終えました。 関係者の無念はいかばかりのものだったか、察するに余り有ります。
「金色の関帝(関羽)像」と「瑠璃燈」
「関帝像」:日本でも人気の高い三国志の英雄「関羽」。本場中国では商業の神として絶大な人気を誇ります。
興福寺の大雄宝殿内では、金色に輝く関帝像が安置されているので、三国志ファンは必見です(関帝像は崇福寺にもあります)。
「瑠璃燈」:堂内内中央に懸けてある 高さ2.18メートルの巨大な瑠璃燈は、中国工匠作となるガラス製の工芸品。市有形文化財。
※堂内は撮影禁止。
【6】「庫裡」 (くり)
※素足での入室はできません。
飯梆(魚板・鱖魚)
長崎では、「崇福寺」、「聖福寺」にも吊るされているので、見比べてみるのも一興です[1]県外では、山口県萩市の名刹「護国山東光寺」にかかっていました。 。
【7】「旧唐人屋敷門」(重要文化財)
元禄2年(1689)、中国人を隔離するための唐人屋敷が十善寺郷御薬園跡に造成されます。この「旧唐人屋敷門」は、その唐人屋敷に遺存していた「唐人住宅門」を興福寺境内に移築したもの。天明4年(1784)の大火以降に建てられた純中国式建築様式で、極めて貴重な遺構です。※「旧唐人屋敷門」は国指定重要文化財!(国宝に次ぐ価値を有するもの)。
【8】「鐘鼓楼」(県指定有形文化財)
【9】「媽姐堂」(県指定有形文化財)
媽祖堂は拝観後は、堂内に安置された金色の媽祖像にご参拝ください(撮影禁止)。
長崎ランタンフェスティバルでは、開催期間中の日曜日に、江戸時代の長崎で催された「媽祖行列」が興福寺(と長崎孔子廟)で再現されます。歴史絵巻を再現した絢爛豪華な儀式を、是非見物ください。
入山の記念に
招き猫おみくじを引いてみました【お守りとして】
「東明山興福寺 まとめ」
あくまで私見ですが、筆者はこの考えを信じて疑いません(原爆による福済寺の伽藍焼失が返す返すも悔やまれますが)。
四福寺の「文化財としての比類なき価値」、「隠元禅師の渡来によるわが国への黄檗文化の伝播」、「日中の文化交流に果たした功績」など、人類史の視座から俯瞰しても、世界遺産に値する貢献を成しています。
この長崎四福寺のなかで、最も古く、そして隠元禅師との縁が最も強い「東明山 興福寺」を、より多くの方に拝観していただきたい旨を伝えて、筆を置きます。
参考文献・サイト:
• 長崎市役所編、『長崎市史 地誌編 地誌編仏寺部 下』、長崎市、1938年
• 五木寛之、『百寺巡礼 第十巻 四国・九州』、講談社、2009年
• 長崎県教育委員会、『中国文化と長崎県』、長崎県文化団体協議会、1989年
• 長崎文献社、『旅する長崎学16 中国交流編Ⅵ唐船来航の道』、長崎文献社、2012年
ただし、
参考URLなしの無断転載
SNS、YouTubeへの転載
画像の直リンク、リンクにrel=”nofollow”を記載
商用ポスターへの無断使用
(商用でなければ、相談に応じさせていただきます。)
以上は固くお断ります。
悪質な無断転載については、断固とした法的措置をとらさせていただきます。
(掲載している写真は全て筆者撮影です。特に表記がない限り、写真などの著作権は筆者に帰属します。)
長崎ブログーッ! | ||
| 長崎県の観光・お出かけ・グルメ情報を発信する個人ブロガー【月間30万PV達成】。モットーは「行く・撮る・食べる」。 | |
〈主な経歴〉 ■Yahoo! JAPANクリエイターズ トレンド/カルチャー部門 長崎市ライター【コンテンツ一覧】(1記事最高PV13,041 / 平均PV4,443[2022年12月5日時点]) ■長崎ケーブルメディア「なんでんカフェ」で、長崎ランタンフェスティバルの達人として出演(2020年2月3日放送)。 ■「ながさきプレス」2022年12月号のインフルエンサー特集で紹介される。 ■各種公的機関などに画像を提供。 ( ゚∀゚)o彡フォローォ!Follow @RnIl0GmXaS4l1dP |
脚注・出典
↑ 1. | 県外では、山口県萩市の名刹「護国山東光寺」にかかっていました。 |